そこからは、字の如くまさに必死。
辺りを見回して、身を委ねても大丈夫そうな岩や草を目がけ、
力の限り、移動する。
自分からすれば、決死の移動だが、上から見れば、ただの横移動にしか見えないらしい。
「お~~~い!」
「こっちから回ってこいよ~~!」
誰がなんといっても、当てにはならない。
自分の体重がかけられるかどうかの判断、手を伸ばして大丈夫か、体勢を崩してまた落ちてしまわないか状況をすべてその時の自分の判断にかけるしかない。
相変わらず斜め横への移動を続けるしかないが、少しずつ掴んでも大丈夫なモノの判断がつくようになってきた。
少しずつ。
登れている。
少しずつ。
半分、まで来ただろうか、
また、雪になる。
どうやって登ればいいのか、もはやわからない。
何をつかんでいいのか。
さすがにもう参った、とやっぱり思えてきた。
ところが、
たまりに堪えかねて、
上から、達夫さんが降りてきた。
「なおき、
よくぞ、命こそあったな。」
「ザックを持ってやる、よこせ」
こんなところを、よくここまで降りてこられたもんだ。
背負ったザックを外すのも一苦労だ。
ザックを外して渡すと、難なく達夫さんはそれを担いだ。
達夫さんは若いころはスキーが得意で、雪山には慣れている。
もう一人の良博さんも、秋田県の出身で、雪を歩くことに苦労はない。
ただ、降りて来てみると、予想以上に厳しい斜面であることを理解したようだ。
「俺の後をついて来い。」
それだけ言うと、黙々と斜面を登っていく。
「もう少し待って、ゆっくりと。」
なんて、言える状況じゃない。
二人とも未だに危ない状況には変わりがない。
ただ、大きな勇気が自分の中に湧いてきた。
あきらめかけたところに、道なき道が出来ている。
それを真似して、ついていけばいい。
ガクガクして動けなかった足底を、見よう見まねで、地面に向かって、立てる。
腕も少し伸びる。
当然、腰は斜面から遠のく。
スパイダーマン、のような格好だ。
しかし、実際、この方が、地面を噛む。
まっすぐ、登れる。
もう少しだ。
雪が一番ないところまで移動したら、あとは最後の勇気を振り絞って、雪を登る。
もう、怖いなど言ってる余裕すら与えてもらえない。
淡々と、何事もなかったかのように、登る。
上では、良博さんがステッキを最大に伸ばして、待ち構えている。
もし、自分がこれをつかんで、自分の重力が勝ってしまったら、間違いなく2人とも、落ちる。
「なおき!
もう少しだ!頑張れ~~!!!!」
手を本当に、このステッキにかけていいのか、掴んでいいのか、迷った。
道連れにしないだろうか。
勇気。
精一杯、自分の出来る範囲で、引っ張りすぎないように、かつ、自分の身を預けられるように、
力いっぱい、そのステッキをつかんだ。
「ようし、引っ張るぞ~!」
ようやく、右足ががつき、やっと左足を持ち上げた。左足を着きたいが、膝しか着けなかった。
「よかったな~!!!」
「ありがとうございました。よかった~。」
安堵して片膝をついたところは、まだ雪道の途中だった。
辺りを見回して、身を委ねても大丈夫そうな岩や草を目がけ、
力の限り、移動する。
自分からすれば、決死の移動だが、上から見れば、ただの横移動にしか見えないらしい。
「お~~~い!」
「こっちから回ってこいよ~~!」
誰がなんといっても、当てにはならない。
自分の体重がかけられるかどうかの判断、手を伸ばして大丈夫か、体勢を崩してまた落ちてしまわないか状況をすべてその時の自分の判断にかけるしかない。
相変わらず斜め横への移動を続けるしかないが、少しずつ掴んでも大丈夫なモノの判断がつくようになってきた。
少しずつ。
登れている。
少しずつ。
半分、まで来ただろうか、
また、雪になる。
どうやって登ればいいのか、もはやわからない。
何をつかんでいいのか。
さすがにもう参った、とやっぱり思えてきた。
ところが、
たまりに堪えかねて、
上から、達夫さんが降りてきた。
「なおき、
よくぞ、命こそあったな。」
「ザックを持ってやる、よこせ」
こんなところを、よくここまで降りてこられたもんだ。
背負ったザックを外すのも一苦労だ。
ザックを外して渡すと、難なく達夫さんはそれを担いだ。
達夫さんは若いころはスキーが得意で、雪山には慣れている。
もう一人の良博さんも、秋田県の出身で、雪を歩くことに苦労はない。
ただ、降りて来てみると、予想以上に厳しい斜面であることを理解したようだ。
「俺の後をついて来い。」
それだけ言うと、黙々と斜面を登っていく。
「もう少し待って、ゆっくりと。」
なんて、言える状況じゃない。
二人とも未だに危ない状況には変わりがない。
ただ、大きな勇気が自分の中に湧いてきた。
あきらめかけたところに、道なき道が出来ている。
それを真似して、ついていけばいい。
ガクガクして動けなかった足底を、見よう見まねで、地面に向かって、立てる。
腕も少し伸びる。
当然、腰は斜面から遠のく。
スパイダーマン、のような格好だ。
しかし、実際、この方が、地面を噛む。
まっすぐ、登れる。
もう少しだ。
雪が一番ないところまで移動したら、あとは最後の勇気を振り絞って、雪を登る。
もう、怖いなど言ってる余裕すら与えてもらえない。
淡々と、何事もなかったかのように、登る。
上では、良博さんがステッキを最大に伸ばして、待ち構えている。
もし、自分がこれをつかんで、自分の重力が勝ってしまったら、間違いなく2人とも、落ちる。
「なおき!
もう少しだ!頑張れ~~!!!!」
手を本当に、このステッキにかけていいのか、掴んでいいのか、迷った。
道連れにしないだろうか。
勇気。
精一杯、自分の出来る範囲で、引っ張りすぎないように、かつ、自分の身を預けられるように、
力いっぱい、そのステッキをつかんだ。
「ようし、引っ張るぞ~!」
ようやく、右足ががつき、やっと左足を持ち上げた。左足を着きたいが、膝しか着けなかった。
「よかったな~!!!」
「ありがとうございました。よかった~。」
安堵して片膝をついたところは、まだ雪道の途中だった。