のがみ農場便り

2012年08月

棚卸しの集計を取りながら考えた。

8月、ほぼ毎日農場からのスタート。

やりたいこと、行かなければならないことがあれば、スタートを少し早めた。

全く1人での朝スタート。

イヌのエサやり

分娩舎のエサやり

離乳舎・子豚舎のエサやり

種豚舎のエサやり

肥育舎のエサやり

種付け

肥育舎の掃除

ここまでほぼノンストップでやりたいが、途中不在着信の折り返しに時間をとられ、休憩した気にはなれない。

ただ、全部の朝の状態をみることは非常に大きかった。

分担制にすると、自分がエサをやっているところ以外の朝一番の豚さんの様子がうかがえない。

しかし、自分がすべて一番目だと、エサの喰いつきの良しあしや、ドヨーンとしている状態をすべて発見する。

しかも毎日だと、今日、ただ調子が悪くなったのか、昨日からだったのか、もっと前から、という流れを分かっていて判断ができる。

処置が今すぐ必要なのか、様子を見てみるだけでいいのか、自分なりの適切な判断ができた。

種付けも今なのか、遅いのか、ちょうどなのか、迷い、試すというロスが無い。

ここまで農場にベッタリだったこともなかったので、良い機会だった。

というわけで、疾病に起因する事故は、ゼロである。

勿体ない事故があったが、疾病とは無関係な発生だっただけに、非常にくやしい。

9月から従業員が復活するが、退院してもなお抗癌剤治療となると、おそらく入院前のような労働力は期待できない。

ましてや、体がきついので豚の健康状態にまで気を使う余裕などおそらくないだろう。

勝手にあたま数が増えたことに期待して、結局、農場成績を落とすようなことになってしまえば、今月の努力も無駄にしてしまうことだって多い。

当面はまだ農場通いが続く。

しかし、どうしても抜けたい、という時に誰か居てもらえることは心強い。

今年度の正念場を迎えている。

来月まで持ちこたえれば大丈夫ということではない。

畜産は育て上げた成果を継続的に収益につなげていかなければならない。


前向きに進めていける指針が定まりそうである。

今年はチャレンジの年。

自分の緩急もしっかりコントロールしながら、やるべきことに向かって頑張りたい。

明日から9月。

そろそろ、ジョギングもスタートさせたいところだが。










宿敵を倒すために。

さあ、困ったハエどもだ。

現在は誘因による殺虫剤を使っているが、どうも継続的に使わないと効果が出ない。

昨日、気になって、ハエを調べまくった。

ハエもなかなか、奥が深い。

いろんな種類のハエがいるが、一般的なイエバエの他に、実に迷惑な奴らがいる。

サシバエである。

刺すのである、吸血鬼だ。

一般的には牛のところに大半が生息するのだが、なぜか農場にも居やがる。

近隣に牛を飼っているところがあると発生しやすい環境になるとか。

こいつに背後からやられると、とてつもなく痛い。

ブヨのように腫れあがったりすることな無いのだが、痛い。

実に厄介な敵だ。

牛さんや豚さんも、そりゃ痛いよ。

夏の成長速度が落ちるのは、ストレスに起因するものもあるかもしれない。

昨日は飼料メーカーさんと話をしたが、

牛の場合、夏の食欲低下の原因として、

1.暑さによるストレス

2.水を飲めていないストレス

3.ハエにイライラさせられているストレス

これをを疑うんだそうだ。

豚もほとんど一緒ですね。


農場をきれいにすることは大事なことだが、

人間の水洗トイレで飼うような環境を作らない限りは、発生をゼロにすることはなかなか難しい。

豚さん飼ってて、ウンコしちゃダメって言えればいいけど、まあ、言ったって聞けないでしょうが。


対策としては、ライフサイクルを止めていく方法が有効であるようだ。

成虫の対策ばかりしてきたが、

ハエは卵、幼虫、さなぎ、成虫の中でもこの成虫は全体の約15%。

たったの15%?

夏の水気のある草やぶに入ると、大概、蚊にやられる。

家に入らないように、網戸を閉める、蚊帳を張る、などの手段で対策を取るが、自分の身を守るためだけであって、根本的な解決策にはならない。


ライフサイクルを止める。

成虫になる前の駆除が必要だ。

ジクジクさせるところを少なくすることももちろん必要。

見える範囲だけでは事足りないようです。


涼しくなってくれば自然と少なくなるんでしょうが、

豚さんにとって夏でも快適な空間を作ってあげることが、飼う側の責任なのでしょう。


少しずつ、駆除を習慣づけられるようにしてきます。





宿敵現る。

短期研修が終わった。

人数が多いと賑やかでいいですね。

34



17



多けりゃいいってもんじゃないでしょうが、職場は仲間同士で社内の不満やビジョンを語れるくらいの人数があってちょうどいい。

研修生の2人、お疲れ様でした。



話は変わって、この研修にあたり、

気にはなっていたものの、今回ヒトに見られると気まずいものに再認識。

最近増えてはきていたんだ。

農場の宿敵。

ハエである。

慣れとは怖いもので、以前はハエのいる空間で弁当を食べる気がしなかったのに、

少々くらいなら、に変わっていた。

しかし、毎回気に障る奴である。

他人を農場に入れた時、大概言われた言葉は、

「臭い、あんまりしないですね。」

「ハエ、思ったほどいないですね。」

だった。

だった、のだ。

最近は、時期によるのも確かだが、目に余る。

一貫生産に切り替えたことで、市販飼料の使用頻度がかなり上がっている。

肥育をリサイクルしたリキッド飼料で育てていた頃とは変わっている。

つまり、排泄物の未消化物が多いのだ。

汚水処理・たい肥処理と一緒で、ここの部分はお金を生まない。

利益の出づらい畜産業ではなかなかコストをかけにくい。

自分さえ我慢できればいいのだが、実際、誰にも迷惑をかけない、ということにはなっていない。

臭いも、ハエも、空気中を浮遊するのだ。

経営継続のためにも人が不快に感じるところについても、できるだけの配慮が必要だ。

そこがまた難しい。

防疫上必要以上のヒトの農場への出入りは控えるように保健所からも先日指導があった。

一般の消費者へは知らなきゃ済む話なので、確かに来なければ分からないし、しかも、今、一般消費者へ向かってわざわざ余計な情報を与えるようなものだが、

現在の農産物・畜産物への安心・安全は、そういう事柄もすべてイメージとしてリンクされてくる。

対策は少しずつでも打たねばならない。しかも継続的に。





研修生来たる。

山口大学の獣医学を学ぶ2人の学生が、5日間の短期研修にやってきました。

59


インターンシップとは違い、単位を取得するために農家への研修を受ける必要があるとか。

電話連絡では、「こき使って構いません」と、

言ったんだか言わせたんだか憶えていませんが、その言葉にうまく乗せられ受け入れることに。

しかし、意欲的な若者と一緒に仕事ができるのは素晴らしいこと。

もの覚えが早い、仕事がさばけるなどとは別です。

こちらも気と時間を取られてしまいますが、教えることは自分にとってもプラスです。

少しばかりサボれるかなと安易な考えを持ったものの、おそらくそういうわけにはいかないでしょう。

自分たちから学べるものが少しでもあれば幸いです。

頑張りましょう。

32

血液検査の結果から考えた。

農場の豚さんの血液検査をしました。

検査してもらったのは、APP・ERY・PRRS・AD・PCVの5項目。

検体数は33検体。

これから、農場の疾病状況、ワクチンの抗体価の変動を見ながらウイルスの状況を確認します。

46



結果的に問題はなかったのだが、

APPの抗体の上がり方が遅いと指摘を受けた。

今、7週と11週令で打っていたのを、うちの農場ではあと2~3週令ずらした方が効果があるとのこと。

少しでも効果を出すために遅めにずらすということだが、

うちの農場は約90日令で肥育舎へ移してしまうので、

移してからの肥育豚舎でワクチン接種は大運動会になる。

しかも、しっかり打てたかどうかも定かではない。

より確実に、短時間で、お互いストレスを感じないように作業をしたいので、

とりあえず1週ずつずらすことにした。


ERYも同様。

しかもERY、抗体が全く上がってきていない。

どうやって打ってるんですかと聞かれて、APPの1回目で同時打ちの1回のみ、と答えると、

それ、水を打ってるのと同じですよ、と辛口コメントが返ってきた。

これもしっかり2回打たないと効果が出ないらしい。


PRRSは今のところ全てマイナスだったので、問題なし。

そして、サーコ(PCV)。

特に現状としては問題はないようだが、肥育後期でどうやら効果が切れているみたい。

当然、体も大きいので、大した症状もないが、

そういえば、たまに咳をする豚は肥育の後半だな。

出荷日令が遅くなるのは飼料給与法だと認識していたのだが、

そこでサーコが動いているのか。


結局、打ち方の変更はしないで良くなったのだが、

しっかり、お世話になったメーカーさんの商品を使用することに。

しかも、2mlになったので、コストUP。


しかし、今月は暑い夏にも関わらず、なかなか農場全体の状況は安定していて、

疾病による事故はない。

夏場に多い分娩台での圧死事故もないが、親に乗られて足をやられたのがいる。これも勿体ない。

いらないとは思っていたけど、ヒーターをしばらく点けてい置いたのは功を奏したのだろうか。

暑い時期はそれなりに安定するもので、一般的にもそう言われているので、自分だけがいいのではない。

これからだ。

朝はもう既に気温が低い。

温度の高低差があるときにしっかり管理しないと足元をすくわれる。


家畜保健所からの血液検査報告書も届いた。

同様の結果だが、補足資料としてPRRSの解説が付けてあった。

たまにこういうのも読んどかないと、と思い見ていたが、まだ自分の認識の甘さを痛感。

58




車や靴でも。

自分は農場に行く日は他農場に行かないように努めることがマナーであると思っている。

習慣にしているので、農場の後はまっすぐシャワーだ。衣類から靴まで全部取り換える。

ホントは行かない方がお互いのためだが、飼料販売という業務上、なかなか難しい。

しかし、自分で現場をあたっていると、いろんなことが見えるので、アドバイスもしやすいし、逆に、他の農場主さんから教わることの方が圧倒的に多いのではなかろうか。


場長も昨日言っていた。

分娩の赤ん坊は、雑巾洗って何回も使うより、使い捨てにした方がずっと結果がいい、と。

確かに、自分がサラリーマンの時は、業務用のペーパータオルで拭いていた。

経験から出てくる知恵だ。自分は洗えばいいやと思っていたので、これも1つ改善。


衛生上の対策は、理屈から入っても分からないが、

経験がそれを裏付けていく。

ただ、結果的に、衛生上奨励されている事柄に結びつくことが多い。

じゃあ、最初からそれを全うしたらとも思うのだが、なかなかそうはいかないもんだ。


現在はもう廃業された吹上の農場主さんは、

必ず、お客さんと自宅で会うようにしていた。

農場へは一切入らせない。

配達も、消毒のシャワーを1分浴びていないと、つっ帰らせたと聞いている。

しかも配達時には専用のつなぎと長靴に履き替えて入場。

確かに、世間はなんでそんなに苦労してるの?っていうくらい、成績は問題なかったらしい。

見事な徹底ぶりだった。

ただ、情報はその社長にしか行かないので、スタッフへの情報伝達も十分にされていたんだろう。


安心・安全を一般の人に見せることも食としては大事なことだ。

一方では、特に間違ったことをしていない限り、農場成績が優秀であれば、農場経営が安定し、

収益の見込みが想定できる。

儲かる畜産業になってるのだ。


最近、毎日農場に入るようになってから、少しだけ感覚が変わってきた。

たまたま、事故も無く成績が良いことも重なっているんだろうが、

まずは、儲かる農場経営にならなければ。

結果を出さないと、経営の継続はできない。

輸入穀物のさらなる高騰がささやかれる現在の状況ではなおさらのことだ。


良質の豚肉をしっかり作って、農場成績も安定させる。

当たり前のことを、しっかりやっていきたい。








 
ギャラリー
  • コラボ黒豚
  • コラボ黒豚
  • 元気良すぎ
  • 元気良すぎ
  • 元気良すぎ
  • 元気良すぎ
  • 元気良すぎ
  • 学生が丹精込めました。
  • 生でもたべられるなんて
記事検索