畜産業界で言うと、つい最近まで黒豚はかなりダブついていた。

相場が値崩れを起こし、飼料原料は上昇しているため、生産原価が合わずに大半の農家が苦慮している状況だ。

年配の農家さんは、思い切ってここが潮時と、廃業をされたところもある。

黒豚ブームに乗っかり、生産頭数がかなり伸びたためと、景気低迷による消費者の買い物傾向が上級志向から少しばかり遠ざかった、などによる現象だ。


その黒豚が、今、引き合いが強い。

黒豚生産に見切りをつけて、思い切って普通の生産効率のよい白い豚に切り替えた大きな規模の農場があることと、もうひとつは最近のセシウムによる牛肉の消費低迷が予想以上に続いているためと考えられている。

豚肉は牛肉よりも安価であるが、黒豚しかも鹿児島産なら、というイメージがあるらしい。

引き合いが強くなることは生産者にとってとてもありがたいことだ。

しかしながら、牛肉の消費回復と円高の動きによっては何ヶ月か先の行方は分からない。

たまたま、来月から配合飼料の価格が若干であるが下がる。

それでも、生産農家のギリギリの状態は続いている。


牛肉はおいしい。牛肉は大好きだ。特に和牛は最高。

白い豚肉もレベルの高い肉質のものも日本中にはいっぱいある。黒豚より美味しいと思うんじゃないかというのも結構あります。

我が家の食卓はいつも黒豚なんて、正直とんでもない。

スーパーや百貨店に出ているお肉を買って、レベルを知る。これは非常に参考になる。

自分の豚肉はサイコーだ、なんてことははっきりいって自己満足に過ぎない。

優劣はお客さんが、決めるんだから。


小規模で黒豚生産を続けることは、今後ますます厳しい状況になると考えられる。

みんな経営者だから、継続していかなければならない。

みんな日々模索している。どの生産者も努力している。


だから、伝える。

思いや情熱を含めて、情報を提供する。

折角なんだから、自分の商品を選んでほしい。


自分の付加価値額をつける。

それが生産者の顔であり、情報であると考える。


図に乗って高く売りたい、なんて自分のことばっかり考えると、不思議に売れないんだな。


何事にもバランスが大事ということですね。