自分はここに残ることにした。

悔しいが、考えることはこれからのことだ。

しかし、スゴイ景色だ。

鹿児島では、なんつぁならん、と言ったところか。

北アルプス24年7月4


北アルプス24年7月3


北アルプス24年7月2


北アルプス24年7月1


その向こうに、頂上を目指す二人がいる。

そこに居合わせた年配の女性と歓談しながら、二人の姿を楽しんだ。

頂上は、一度登ったが、その時は大雨の前で全体に霧がかかり何も見えなかった。

今回は絶景を拝めたらしい。


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「ところで、あなた、脚、大丈夫なの?」


「ええ、多分、大丈夫です。」


「それで大丈夫なんて、そんなこと無いでしょ。ちょっと見せなさい。」


この状況で、拒むこともできず、渋々ズボンをまくりあげた。


自分でも見ない方がいいと思っていたが、やっぱり見なきゃ良かった。


「あなた!この足で登ってきたの?」


この高揚した言葉に、周辺の登山組がざわつき、寄ってきた。


「待ってなさい、呼んでくるから。」


山小屋のスタッフを呼びに行っている間に、みんなで手持ちの救急道具を取り出す。



「大丈夫ですか?」


「まあ、なんとか。」


と、やり合っているうちに、山小屋の人が駆けつけてきた。


「裏から来たの?あっちはまだ整備が遅れてしまっていてねえ。」


「どれどれ」


「あ~、こんなん、たいしたことない。」


一言だった。


そりゃそうだろう、


おそらく、この人たちは、数多くの遭難者や、もしかしたら、死者とも立ち会っているかもしれないのだから。


「ちょっとしみるよ。」


手に取っていたのは、ポンプ式になった消毒用アルコール。


じわじわ、なんて想像していた自分が馬鹿だった。


手に取り構えるや否や、勢いよく傷口全体に何度も何度も吹き付ける。


大人ですから。


拳を握るしかなかった。顔は自分で見るには至らないほど、真っ赤っかである。


それをみんなが、笑顔で見守った。


ホントは笑いの状況だが、じっとそれを我慢している雰囲気が、自分には十分伝わっている。


手厚く、介抱してもらったいただいた方々には感謝この上ない。


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二人が降りてきた。


とりあえず、ここで昼食をとって、下山しよう。


不安な下りが始まる。


さあ、踏ん張りどころだな。