毎日暑い日が続きます。

農場の豚さんも、さすがにグロッキー状態。

1番心配なところは分娩舎である。

産後の肥立ちが悪い母豚がいる。

食欲が落ち、発熱している。

子豚は親からの母乳だけが頼りなので、母豚の体調不良は生まれてきた子豚たちの発育に大きく影響する。

とにかくスタートダッシュが何より大事だ。でなければ成長速度はダラダラになってしまう。

しばらく朝から毎日農場作業しているが、たまに来るとわからないことも流れがつかめるとおおよそ分かってくる。

体調不良は急に起こるものでもない。やはり兆候がある。

それを如何に管理者側が早期発見してやれるかどうかである。


ただ、脚を悪くする母豚が何故数頭も出てくるのかは全く分からなかった。その瞬間を見るまでは。

分娩台がなるべくきれいな状態であるように、掃除の後、水で下を流す。

打ち水をした時の状態で、扇風機の風により心地よい空間を作る。しかも、ウジの発生が少なくなるのでハエも少なくなる。

ただ、良かれと思って親にも水をかけたり汚れているスノコ部分を強い圧で流したりするのだが、これがあの重い母体の足滑りの原因となっていた。

先日、黒糖粉末を購入して使い方が分からなかったので、利用しているNファームの生産農場の場長に使い方を聞いた。

その時、暑がっている母豚に対しての対処を聞いたのだが、「水はかけてもいいけど分娩をして子豚が居るところはあんまりかけちゃダメだよ、」って言っていた。

「親豚は気持ちいいけど、子豚は飛んだ身体にかかった飛んだ水が扇風機で冷えて下痢をしだすよ、」

「親豚と子豚が望む環境は違うからね。」

確かに、そうだった。

確かに、そう言えばホースの圧を強くした時のコンクリートにかける水の音を聞いた母豚たちが過剰な反応をしていた。

嫌がっている反応だ。


サラリーマン時代に似たようなことをしていて上司に怒られたことを思い出した。

「お前、自分は暑かったり寒かったりしても自分で対処するけど、ブタはこの場から動けないんだぞ、

立ってる位置の気温とブタの位置の気温も体感が全然違うんだぞ、

お前は自分の主観でブタを管理しているだけだ。」


成績の良い母豚でも、脚を悪くしてしまっては次に使えるかわからない。

しかも人工授精もまだ取り入れていないので雄を乗せると足への負担は相当重くのしかかり、つぶれてしまう。

折角育ててきた母豚も使えなければ廃用になってしまう。

また1から作り直しでは農場の平均産歴は上がらず、産子数も安定しない。

人間はやる仕事は一緒だから、1腹の数は多い方が当然望ましい。


ついていたからこそ分かったことも思いだしたこともいっぱいあったが、まだまだ技術力と管理力が足りないと痛感した。

分かっていないと指示もできない。


真夏を過ぎたら、次は昼と夜の温度変化を上手に対処してあげなければならない。

難しいですね。